亮月店主鈴木

「新そば」よもやまばなし

春の訪れを告げるものに桜前線があります。桜の開花時期と地域を表すものですが、南から順に北上していきます。そばはと言いますと、そば前線とは誰も呼びませんが、北から順に南下してきます。これはそばが霜に弱い作物であることに由来します。よって、地方ごとに初霜が降りる前に収穫できるように合わせて種蒔きをします。収穫が終わりますと、いよいよ本格的な冬の到来となるわけです。

亮月の新そば

静岡の新そばは12月

国産のそばでは、北海道産のものが最も早く、9月の半ば頃から市場に出回ります。一般的には、この秋に収穫したものが「新そば」と呼ばれます。当店のそば畑は、温暖な静岡県のため収穫も遅く、10月中旬から始まり、最後の収穫は11月初旬から中旬になります。その後、乾燥・選別等の工程を経て、お店で「新そば」を使うようになるのは12月の声を聞いてからになります。

自家製打ち立てのそば

新そばの特徴

「新そば」の特徴として挙げられるのは、まず色です。古そばは褐色がかった淡い緑色をしているのに対して、新そばは褐色味が薄くなり、淡い緑色が強くなります。私の主観ですが、味も緑をイメージするような青みを感じるフレッシュな味わいが特徴です。「新そば」は香りが強い、というイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、香りが強いというより、この青味を感じるフレッシュな味わいが新そばの出始めの頃だけのものなので、そのように言われるのかも知れません。また、古米は新米に比べて明らかに味が落ちますが、そばの場合は古そばには青みのない深い味わいがありますので、私はどちらも大好きです。

「新そばあります」って実は…

9月の中旬あたりから「新そばあります」の貼り紙が見られるようになります。これは、お米の新米に倣ってそば屋の販売促進の一環として積極的にアピールするようになったと聞いたことがあります。暑い夏が終わってそばの需要が落ち込んだ頃、まだまだ盛り上げていこう、という狙いがあったわけです。また、この貼り紙はそれぞれのお店が使う産地によって時期にずれがあるわけですが、これは先ほど書いたように、蕎麦が北から南へ順に収穫されるからです。そばの産地によって味・香り・色味にも特徴があります。この「新そばあります」の貼り紙は、そば屋の1番のビッグイベント「年越しそば」に換わるまで使われ、年が明けるとピタッと「新そば」という言葉は聞かなくなる、そんな流れです。

満開のそば畑

夏の新そば

また、春に種を蒔き夏に収穫するそばもあります。こちらは、「春そば」と呼ばれます。春そばは、暖かい地方から順に収穫されますので、”そば前線”は南から北の北上となります。早いものは、6月の下旬あたりから市場に出回ります。
当店でも、春そばを栽培することもありますが、収穫が梅雨の時期になってしまい、なかなか難しいものがあります。

春そば栽培の難しさとやりがい

春そばは、「夏新」と呼ばれ、秋に収穫したものは「秋新」と呼んで区別しているようです。「春そばあります」の貼り紙を目にされたら、それは秋のものより一足早い、夏の「新そば」です。
是非、収穫時期による違い、産地による違いなどを感じながら、楽しんでみてください。もちろん、新そばの時だけ食べてはその特徴も分かりませんから、普段からよくそばを食べに来てください(笑)
皆様のご来店、お待ちしてます。

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