亮月の大盛りそば

噛むほどに香る二八蕎麦の腰の秘密

先日、お客様から「蕎麦の腰が強いね、何割?」と聞かれました。ありのまま「二八です」とお答えしましたところ「これで二八か」と返ってきました。そこで私は閃きました。今回は読めば美味さ増し増しのネタ「蕎麦の腰」についてご説明しよう、と。

蕎麦の腰を強くする4つの要素

製麺後のそば

腰の強さに影響を与える要素は複数あります。一つ目は蕎麦粉に混ぜる小麦粉の量です。前出のお客さんが疑問を感じたように、小麦粉の割合が増えれば蕎麦のボソボソ感が引っ込み腰が強くなります。ですから「これで二八か」となるのも不思議ではありません。

しかし、当店の蕎麦は二八蕎麦です。そこで二つ目の要素です。これは小麦粉に含まれるグルテンと呼ばれる粗タンパクの量によるものです。粗タンパクの量が多い小麦粉ほど麺の腰が強くなります。皆さんに馴染みのあるご説明をしますと、粗タンパクの量が少ない小麦粉は薄力粉、多いものが強力粉、といいます。しかし、スーパー等では薄力・強力の2種しか見かけない小麦粉ですが、実はもっとたくさんの種類があります。

小麦の品種によっても特徴があり、それぞれグルテンの量も違いますし、コーヒーのように小麦粉もブレンドされていたりもします。私どもが使う小麦粉を選定するにあたりはカタログがあり、粗タンパクの量もしっかり数値化されています。ですから、同じ2割の割粉でも、その種類によって腰の強さに違いが出るわけです。

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三つ目の要素は茹で時間です。長ければ長いほど腰は弱くなります。これは時間に比例して麺に吸収される水分が増え、ふやけるためです。同様に盛り付けた蕎麦を長らく置いておくと、蕎麦の表面の水分を吸い、どんどん腰は弱くなりパサパサの麺になります。いわゆる延びてしまったというやつです。

そして四つ目の要素。それは温度です。当店でお出しする温かい蕎麦も冷たい蕎麦も茹で時間は同じです。しかし、しっかりと冷水で締められた蕎麦には強い腰があり、ぬるい水では腰も砕けた締まらない麺になります。さらに温かい蕎麦には腰をあまり感じられません。不思議なことです。

以上の四つを組み合わせて作りたい形に仕上げていくわけです。いかがでしたでしょうか。

蕎麦好きの方へ:亮月のこだわり

自家栽培のそばを自ら製麺する店主

人の好みは千差万別です。万人が美味しいと感じるものは作れませんし、どこに合わせたらいいか分かりませんので、結局私の好みでお作りします。この私の好みが店の個性であり、お客様にお伝えしたい味となります。

当店の蕎麦の腰が強めなのは、腰が強ければ自然と噛む回数も増えるであろうと思うからです。噛む回数が増えればより蕎麦の香りが立ち、そして隠れていた蕎麦の甘みが徐々に出てきます。そんなことを感じていただければ幸い、と少し強めでご用意しております。

とは言え、これらはあくまでもも参考意見としてください。皆さんの好きな食べ方が一番美味しい食べ方ですから。現に、私はろくに噛まずどんどん飲み込むのが好きな食べ方です(笑)今日もありがとうございます。

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