蕎麦屋の朝仕事は毎日同じことの繰り返しですが、私が常に心掛けていることは、「いつも同じ仕上がりにすること」です。蕎麦も出汁も焼豚も気温や天気、また微妙な火加減や水加減で仕上がりが変わってしまいます。いつも同じ質を保つことは難しさもありますが、とても大切にしていることです。だからこそ、毎日一生懸命に取り組んでいます。
亮月自家製吊るし焼き豚と蕎麦羊羹
毎朝7時過ぎに店へ来て、吊るし焼豚の仕込み作業に入ります。タレに漬け込んだ肉に、胡椒をたっぷり振ってから特製釜に吊るして焼きます。肉の大きさにもよりますが、焼き上がりに概ね3時間くらいかかりますから、一番最初に仕掛ります。
豚肉は、毎回重さを測り、焼き時間を計算します。焼く温度は仕上がりに影響しますから、神経を使います。一般的なガスコンロを使っていますが、ツマミをほんの少し動かしただけで10℃くらいすぐ変わりますので、火加減は本当にシビアです。作業の合間に時々温度チェックしながら、じっくり焼き上げます。
次に当店オリジナルの蕎麦羊羹です。蕎麦粉と蕎麦茶を混ぜ合わせ、蒸し器にかけて蒸し上げます。
蒸し器を火にかけたら次は、ツユの要の出汁です。前日より水に浸けておいた昆布と共に火にかけます。昆布を取り出した後、削り節を投入です。その後は、アクを取りながら弱火でじっくりと煮出していきます。出汁を煮出している間に、今度はお米を研ぎます。
それから、大切なお客様をお迎えするための盛り塩を用意します。
そうこうしていますと、羊羹が蒸し上がり、出汁が取り終えて、とあれこれ仕上がってきます。
追い鰹でふわっと香り付けをした自家製つゆ
出汁は、コシ布で濾して容器に取ります。お店中に出汁のいい香りが漂います。また、出来上がった出汁は黄金色のとても綺麗な色をしています。匂いと色を見ては、今日もいい出汁が取れた、と嬉しくなる瞬間です。
そして9時を回った頃、朝ごはんを兼ねて少し休憩します。ちなみに、シリアルとレンチンしたトーストに隣のコンビニで買ってきたコーヒー、これが私の毎朝のメニューです。大したもの食べてませんね(笑)
今日のお客様のために「打ちたて」を
休憩と細かな雑用が終わると、いよいよ蕎麦打ちとなります。
蕎麦打ちは、気温や天気と相談しながら加水量を調節します。蕎麦粉に水を加える作業を水回しと言いますが、この時が一番蕎麦が香る瞬間です。これを皆さんに感じていただけないのが残念ですが、ふわ〜っと、蕎麦のいい香りが立ち込めます。そして蕎麦を打ち終えた頃、開店時間を迎えるというわけです。
蕎麦屋として大切にしていること
ざっくりと、私の朝の仕事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、毎日の作業で私が常に心掛けていることは、「いつも同じ仕上がりにすること」です。焼豚も出汁も蕎麦も、気温や天気、また微妙な火加減や水加減で仕上がりが変わってしまいます。ほんのわずかな違いが、大きな違いになってしまいます。例えば蕎麦打ちですが、たった1%加水が多かっただけで、蕎麦は細く柔らかい麺になってしまいます。細い麺は、食べやすく喉越しもいいのですが、味・香りが弱くなります。そして、もう1%加水が多かったら、生地が柔らかくなりすぎて、蕎麦が打てなくなってしまいます。
昆布を火にかける際も温度がとても大切です。あまり熱くしてしまうと、昆布のエグ味が出ますし、低ければ十分な出汁が取れません。ですから、煮出す温度を測りながらの作業となります。設定温度になりましたら、昆布を素早く取り出して同じことの繰り返しのようですが、実は「いつも同じ仕上がり」というのはとても難しいのです。でも、難しいからこそ続けられるのかもしれません。
今日も、いつもの美味しい蕎麦を作って、皆様のお越しをお待ちしています。
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