土を耕し種を蒔き、無事に芽が出て綺麗な花を咲かせました。その後、1ヶ月ほどで終わる収穫作業ですが、今年は数年ぶりの豊作で仕事量が増えたため未だ終わらない状況です。今回は収穫した蕎麦の実がどのような工程を経て「蕎麦」となっていくのか、その裏側をご紹介しようと思います。
厳密な低温管理「採れたて保存」
収穫した蕎麦は、直ちに乾燥機に入れられます。収穫後の蕎麦は水分を多く含んでいますので、放っておけばすぐに腐ってしまいます。収穫後の実の水分量は大体25%くらいでしょうか。これを15%くらいになるまで乾燥させます。ここまで乾燥させますと、湿度と温度の管理をちゃんとすれば長期間にわたって保存することが可能です。亮月では、定温倉庫で保管しています。
乾燥が終わりますと、一旦米袋に取り出します。それを揺動(ようどう)式選別機という機械を使ってゴミと未熟な軽い実を取り分けます。ゴミとは収穫時に入り込んだ、蕎麦の茎などです。この選別機は、まず風力で蕎麦以外のゴミを飛ばし、次に凸凹状の板を左右に揺する(揺動)ことで比重の重い実と軽い実を選り分けることができるものです。機械の動きを言葉で説明するのは難しいのですが、その見事な選別ぶりを見るたびに、この機械を発明した人は天才だな、感心します。そして選り分けられた重い実だけを袋に詰め、直ちに倉庫へと運び保管します。
採れたて挽きたての蕎麦を食べてほしい
店では倉庫ほど温度管理ができませんので、品質が落ちないように、手間ではありますが毎週数袋ずつ取りに行っています。店に持ってきた蕎麦を今度は石抜き機にかけ、収穫時に混入した石や土の粒を取り除きます。これをしっかりやらないと、蕎麦なのにアサリを食べた時のように砂を噛むことになりますので、細心の注意が必要です。
石を抜いた実は、殻を剥き、剥き実となったものを石臼で挽き、ようやく蕎麦粉の完成です。
ちなみに、殻を剥かずに挽いた粉で打った蕎麦は田舎そばと呼ばれ、色は黒味がかり、細かい殻の粒が混じるため食感はザラついた感じで切れやすい麺となります。これは個々の農家には、殻を剥く機械も道具もなかったためだったと考えられます。
いかがでしたでしょうか。
今回も蕎麦屋の裏側ネタでしたが、多くの知られざる工程があるとお分かりいただけたと思います。自分でも書いていて、その工程の多さに少し呆れました(苦笑)
この事業を始める前から、こんなにたくさんのことをやらなければならないと知っていたらここまでできなかったかもしれません。
何も知らずに農業の世界に飛び込み、蕎麦を打つまでに必要なことを一つ一つやってきて、気づけばこんなことになってた、そんな感じです。
確かに、手間といえば手間なのですが、今日も皆さんの「美味いっ!」のために全力でやるのみです。
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