自然薯の揚げ物

「一年一度の挑戦」農業の厳しい現実

今年の自然薯、予期せぬ終焉

すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、今年の分の自然薯が不作により終わってしまいました。
当店でご提供する自然薯は、地元函南ブランドでもある石川さんちの自然薯で、当店のすぐ近くの畑で作られています。

自然薯栽培の繊細さ

自然薯畑

自然薯作りは、毎年三月の下旬から始まります。
始めに重機を使って、膝上ほどの深さで30mほどの長い溝を何本も掘ります。そこへ自然薯がおかしな方向へ伸びて行かないように、プラスチック製のパイプを一本ずつ埋設していきます。ここからは手作業となり、膝上ほどの深さをスコップで埋めていきます。埋め終わったら、そのプラスチックパイプに沿って伸びるように位置を合わせて種芋を植えていきます。その後は、ツルを這わせるためのネット張り、草抑えのビニール掛け、追肥、日照りが続けば水やり等々、時々の様子に神経を尖らせ、維持管理をしながら11月の収穫を迎えます。
収穫は、埋設したパイプのすぐ脇を重機で膝上くらいの深さの溝を掘ります。その溝に人が入り、スコップで一本一本パイプを掘り出して芋を取り出すという重労働です。

農業の不確実性

手をかけた分だけ結果に恵まれればいいのですが、そうはいかないのが農業の厳しいところです。期待通りに大きく育つものもあれば、残念ながら土に溶けてしまったものもあります。そうした結果を目の当たりにしながら一喜一憂し、数日をかけて掘り進めていきます。
掘った自然薯は、土を落とし冷蔵庫で保存をします。保存時も自然薯が乾燥しないように、一本ずつビニール袋に入れ、さらに毛布を掛けたりとなかなか手間がかかります。
昨シーズン、なぜ不作だったのか。実は、なぜだかよく分からないのが実情です。天候による影響も大きいのですが、栽培方法に問題があることも少なくありません。また、気候に合わせて少しずつ変えていかなければいけないのかもしれません。あれこれ振り返りながら翌シーズンに臨むわけですが、絶対にこれという解決策はありません。やってみて結果を待つ、その繰り返しです。

農業のリアル: 一年に一度の重み

私にも経験がありますが、数年に渡り思うように蕎麦が採れず、随分と頭を悩ませたものです。スポーツなどと違って、農業の難しさは一年に一度しかチャンスがないということです。私が農業を始めた頃、大変お世話になった方がおっしゃっていました。「例えば、米を20年作っていると聞けばすごく作っているように聞こえるけど、回数にしたら20回しか作ってない。20年やっても、それだけのチャンスしかない。だから農業は難しいんだ」と。

私自身、蕎麦の栽培を始めて早13年が経ちますが、その13回のチャンスの中で、満足のいく結果に恵まれたのはわずか3、4回です。とても受け入れ難いことですが、どんなに頑張っても間違ったやり方ではいい結果が出ません。心が折れてしまうことも度々ありましたが、気を取り直して続けることで今日に繋がっています。毎年、シーズンの初めと終わりにその方の言葉がしみじみと思い出されます。

私たちが日頃、当たり前のように口にする食べ物には、いろんな人の一生懸命がたくさん詰まっているんだな、と改めて気付かされます。今日もありがとうございます。

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