そば畑の花

花盛りの蕎麦畑に潜む獣害の影と対策

今年は台風や大雨に見舞われることなく、蕎麦もこれまでのところ順調に成長しております。どんな作物にせよ、農家は天気のことが気がかりでならないものです。散々手間暇かけて育ててきたものが、台風などで一夜にして全滅、なんてことも珍しくありません。
しかし、天気のことはいくら気を揉んでも仕方ありません。作物の無事を祈って過ぎるのを待つばかりです。

<前編>真夏の新そば種蒔きはこちら

畑を荒らす動物たちとの闘い

蕎麦畑周辺に猪が掘った大きな穴
猪が掘った大きな穴

ところで、農家にはもう一つの気を揉むことがあります。それは獣害です。花の時期には全く寄りつかないのですが、実が熟し始めますと獣が荒らしに来ます。一夜にして全滅ということも起こり得ますが、こちらは天気と違ってある程度の対策はできます。一番有効とされているのは電気柵です。畑の外周に約5メートル間隔で細い支柱を立てて回り、そこに電線を巻き付けて電気を流すものです。外周にぐるっと張るわけですから、電線の長さも数百メートルは必要です。

電気柵:畑の周りに数百メートルの電線を張る

この電気柵ですが、常時電気が流れるのではなく、2秒毎に一回流れるような感覚です。流れる電圧は4,000V〜6,000Vです。とても高圧ですが、触れても命に関わるようなことはありません。うっかり触るとパチンと音がして強いショックと痛みが走る程度ですが、この衝撃で獣を撃退するわけです。
敷設作業の準備として、雑草の成長が鈍化するこの時期に畑の周りの土手草を刈ります。あまり早く草を刈りますと、すぐに雑草が伸びて電気柵に触れ漏電が起こります。漏電をすると、十分な電気ショックが与えられなくなり、獣を撃退できなくなりす。
まず草刈りで一周。支柱は一度に一周分を持ちきれませんので、何度となくトラックを行き来します。さらに電線を張るのにまた一周、とぐるぐると全部で何キロ歩くのか、という作業になります。
この辺りの地区では、猪対策だけで済むのでまだマシなのですが、もう少し奥の山間地に行きますと、鹿や猿が出ます。猪に対しては電線を膝の高さくらいで最低1重巻きで済むものが、鹿はさらに胸の高さまで最低3重巻き、猿に至っては鹿プラス天井に網を張る、となります。

食べ物の価値を知る

こうして蕎麦だけ見ても、口に入るまでには中々大変な労力です。私も毎日いろんなものを当たり前に、しかもお腹いっぱい食べていますが、これもたくさんの人のご苦労のおかげなんだなあ、と改めて感じました。
今日もありがとうございます。

<関連>蕎麦になるまでの自然界の感動的なプロセス

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