「熱函道路沿いにある良さげなお店」
よく口コミでこう表現してくださいます。
ありがたいことに亮月をオープンし6年が経ちました。今回は、お店を作ったときのことを振り返ります。
丹那の山間地で飲食店開業、まさかのハードル
そば事業を始め、一年ほどで栽培・製麺・生麺販売までは漕ぎ着けることができました。これで一応6次産業が完成となったわけですが、最終目標はそば店の出店です。これがなかなか実現できず、事業を始めてから6年後となってしまいました。
いろいろ検討してみましたが、集客の面では不利な感じは否めませんが、広い駐車場を確保したかったのと、畑と店の作業の両立を考え、畑に近い山間地で開業することにしました。しかし、山間地で新規に開業する場合は、条令による規制がありとても難しいものでした。この規制をクリアするのに何年もかかってしまったわけです。
予定外に3年ほど長くかかってしまいましたが、この間、製麺技術をしっかりと身につけることが出来ましたし、非常に地味ではありましたが、より多くのお客さんに亮月のことを知ってもらうことが出来ました。また、営農の方もあれこれ機材を揃えつつ、また技術を磨くことが出来ましたので、必要な時間だったのかもしれません。
さて、いよいよ許可が下りて店舗建設となるわけですが、そこでちょっと躊躇するわけです。多額の借金をしなくてはならず、返済できるか心配になってしまったのです。事業はおろか飲食店の経験すらなかったわけですから。しかし、やらなくては何も変えられません。生麺販売だけでは、いずれ行き詰まるのは目に見えてましたから。あれこれ数日間思い悩み、どうにか不安な気持ちは押し殺して前進あるのみ、と思い直しました。
店舗改装、不安との戦い
店舗は賃貸物件です。元々、農業用倉庫だったプレハブを半分切り詰め、改装して店舗にする計画です。外装とトイレは大家さんが受け持ってくださることになりましたので、私は内装と設備です。多額の借金といいましたが、予算が非常に限られてましたので、できるところはなるべく自分でやります。
内装に使っている腰板は、大工さんのところに転がっていた廃材をもらって機械を借り、妻と2人で一枚一枚汚れや傷を削って綺麗な板に仕上げたものです。壁のパテ埋めやペンキ塗りも自分たちでやります。食器棚や換気扇フードなども自分たちで設置します。どうしてもできないことは、業者さんにお願いします。
エアコン・照明などの設備はもちろん電気屋さんの出番ですが、予算の都合で機材は少しでも安いものを自分で買い集め、取り付け工賃のみでやってくれるようにお願いをしました。他にも茹で釜や食洗機に製氷器とたくさんの厨房設備が必要ですし、水回りの工事もあります。もう毎日頭を抱えながら計算機と睨めっこしながら必死のやりくりでした。
地元丹那の方に支えられて
また大工さんとも日々交渉です。交渉というより、お願いと言った方が正しいかもしれません。この大工さんですが、私のお願いに嫌な顔ひとつせず引き受けてくださいました。大工さんは地元の建設会社の方だったんですが、社長さんがものすごく男気溢れる太っ腹な方で、外装から内装まで注文外の仕事をサービスでやってくださいました。
本来、外壁を塗り直す程度で考えていたんですが、見栄えが悪いとのことから、外壁の腰板に、窓・壁・屋根の飾り格子をつけてくださいました。
極め付けは立派な松材の一枚板です。これは亮月自慢のカウンターとなりましたが、なんとこちらも提供してくださいました。
「なぜこんなにしてくださるのか?」と伺ったところ、
「地元の人が見てるからおかしな仕事はできない」とのことでした。
ものすごい人がいるものです。これまでも随分多くの人に助けていただきましたが、こちらの社長さんには頭が上がりません。本当に素敵なお店を作っていただきました。
「亮月のそば」で恩返しをしていきたい
開店して6年、どうにか今日まで続けてくることが出来ました。振り返りますと懐かしい思い出ですが、
「いつも頭抱えながら必死でやってきたなあ」とも感じます。ここまで来れたのは、自分がやりたい事業だからこそではありますが、お世話になった大家さんや業者の皆さんの応援があったこともとても大きかったと思います。
「いいものを用意していただいたんだから、私も恥ずかしいことはできない」
「頑張らなくちゃ」そんなふうに自然となります。まさに応援の力です。
新しく何かを始めるのはとても勇気のいることですが、思い切ってやってよかった、つくづくそう思います。
皆さんも、やりたいことがあったら恐れずチャレンジしてください。諦めずにやり続ければ必ず道は開けます。
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