蕎麦の収穫時期は、桜前線とは逆に北から順に南下してきます。蕎麦は霜による冷害を避けるため、北の地方ほど種蒔き時期が早くなるからです。よって日本で一番早く取れるのは北海道産で、概ね9月初めには新蕎麦が世に出回ります。対して、私の畑では9月初めにはまだ種蒔き作業の途中となります。蕎麦は種蒔きから収穫まで60日〜75日ですから、当店の新蕎麦は11月下旬にようやく収穫を終えることとなります。
10月になりますと、お客様から度々「もう新蕎麦ですか?」と聞かれますが、「うちはまだ花咲いてます」とか「まだ畑にあります」などとお答えすることになります。せっかくの新蕎麦もお出しできるのが12月では今更感が否めなくもありません(笑)
そばの香りを楽しむなら新蕎麦
さて新蕎麦ですが、その特徴は色と香りにあります。ほんのりと淡い薄緑色と、同じくほんのりと若草を思わせるような淡い香りがします。味と香りは同義ですから、この淡い香りが新蕎麦らしい味わいとなります。しかし、人によってはこの若草を思わせるような青い香りが苦手という方もいらっしゃいます。
そばの深い味わいを楽しむなら熟成蕎麦
また、どんな食材にも言えることですが、穫(獲)れたてのものを新鮮と呼ぶのに対して、時間を置いたものを熟成と呼びます。蕎麦もまた然り、きちんと温度管理をして保存をすれば、それは熟成蕎麦と呼ぶべきものになります。新蕎麦の持つ香りと色はありませんが、熟成蕎麦は、褐色味のある色と青味が取れた深みのある味・香りがあります。人によってはこちらの方が好きという方もいらっしゃいます。また蕎麦職人にも、最低2、3ヶ月寝かしてからが美味い蕎麦になる、という方が多数いらっしゃいます。私なんぞは、自らが蕎麦を栽培するせいなのか、結局どれも美味しいとなってしまいます。
ですから私は、時間の流れと共に変わる微妙な味の違いも楽しんでいただきたいので、あるがままの蕎麦を打っています。
以前のブログでもご紹介しましたが、蕎麦でもなんでも、味・香りの違いを見極めるには、口に馴染むまで同じものを何度も食べてみる、これに尽きると思います。そうしていつの間にか口に馴染んだ味が基準となり、ある日それまで気づかなかったことに気づいたことに驚く時が来ます。
ともあれ、一番大切なことは美味しく楽しく食べることです。あまり難しく考えず、気ままに食べていただければ幸いです。
今日もありがとうございます。
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