前回のブログでも触れましたが、今年も蕎麦の作付け作業が始まりました。あの頃は、一番初めの圃場内の草刈り作業を終えたところでした。あれから3週の間に、反転耕、施肥、ロータリー耕、播種、覆土、と6つの工程を経て、ようやく全部の畑の播種作業が終わりました。
振り返れば、土づくりから始まり、種を蒔き終えるまでに、1ヶ月半ほどかかりました。今年も、作業開始早々にトラクターのエアコンが故障し、また作業機の不具合もあり、作業中断こそしなかったものの、思うように進まない期間もありました。時間にして、一週間ほどロスした感じですが、とにかく無事蒔き終えられて、一安心です。今はほんの束の間ですが、作業に追われ続けた日々からの開放感に浸っております。
悪天候にも負けない、リスク分散の秘策

さて種蒔きですが、私は畑を数ブロックに分け、1ブロックの畑へ種を数日おきに蒔いていきます。これには、気候による減収リスクを分散させる目的があります。
昨今の気候の変化はとても極端で、暑い日が続いたかと思えば、急に冷え込んでみたり、雨も一気にたくさん降ったり、全く降らなかったり、と読めません。あまりに暑い日が続けば、蕎麦は実をつけなくなります。また、蕎麦は過剰な水を嫌いますので、大量の雨が降れば湿害による発育不良を起こし、こちらも実のつきが悪くなります。
また、蕎麦は根を深く張る植物ではありませんので、風にも弱く、台風などの直撃を受ければ、倒伏してしまいます。倒伏とはまさに、地面にべったりと横たわってしまう状態です。収穫には最低でも20センチほどの高さが必要ですから、その高さがなくなってしまう倒伏は深刻な減収へとつながります。これまでも何度か経験しましたが、最悪の場合、収穫放棄となってしまいます。これは、人の手ではどうにもできないことですが、どうしたって心は折れます。
しかし、遅くに蒔いたものほど、倒伏しても成長にまだ伸び代があります。倒れたものは二度と元には戻りませんが、そこからまた伸び、減収は避けられなくとも、先だけでも刈り取れる高さに育つ可能性が出てきます。暑さに対しても同じように、遅く蒔いたものほど有利に働きますし、寒さに対しては早く蒔いたものが有利となります。雨もまた然り、成長が止まったものにはさほどの影響はありませんし、成長期に大雨に見舞われれば減収となります。
遠回りでも一粒に懸ける想い

作業効率から言えば、一つの作業を終えるごとに次の作業へと進めるのが効率的です。なぜなら、作業ごとにトラクターに取り付ける作業機を換えなくてはならないからです。しかし、このやり方では、種蒔き時期が一時に集中してしまうことになります。畑の草刈りから種蒔きまで、4種の作業機を使います。交換そのものは、数十分でできますが、畑から車庫までの往復時間も含め、畑のブロック分けごとに何度も何度も付け換えるとなると、かなりの手間と時間がかかります。
何がどう作用するかその時々で変わるため、はっきりしたことはよくは分かりませんが、「より良い蕎麦ををより多く作りたい」となればこのような工夫と手間は、絶対に避けられないものになります。大変なのは農業だけではありませんが、それでも経験があるだけに「やっぱり食べ物を作るのって大変だ」としみじみ思います。そして同時に「だからこそ、大事にいただこう」と改めて思い直します。
ちなみに、前述の通り機械の不具合で作業時間をロスしたため、ブロックごとの種蒔き間隔を十分に空けられませんでした。このため収穫時期を迎える間隔も短くなりますから、時間に余裕がなくなることが決定しています。
頭痛の種まで蒔かれてしまいました。今日もありがとうございます。
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