そばの実

新そばの季節が到来:いよいよ始まる種蒔き作業

お盆休みが明けると、待ちに待った種蒔きシーズンが始まります。しかし、この作業、ただ種を蒔けばいいというわけではありません。実は、これまで雑草を刈り取りながら、圃場が荒れるのを防ぎ、シーズン到来を待ち続けてきたのです。

亮月はそこそこ広い面積で蕎麦を栽培しているため、一度に全部の畑の収穫をすることができません。そのため、収穫の日程を考えながら、少しずつ日をずらして種を蒔いていきます。収穫は10月下旬から11月下旬が目安で、お店で「新そば」を使うようになるのは12月頃です。今年もおいしい新そばを提供できるように努力しています。

種を蒔くまでのプロセス:土づくりの重要性

種蒔き前に土を耕した蕎麦畑

種蒔きと言いましても、時期が来たからすぐ蒔けるわけではありません。まずは最後にもう一度草を刈り、土を耕し、肥料を蒔いてから、ようやく種を蒔きます。種を蒔いた後は土を被せて、ようやく作業が完了です。

耕す工程には2種類あります。最初に「プラウ」という機械を使って、土の天地返しを行います。天地返しとは、深部の土と表層の土をひっくり返して入れ替える作業です。文章だけだとイメージしにくいかもしれませんが、気になる方はYouTubeで「プラウ耕」と検索してみてください。見事に土をひっくり返している様子が分かります。

この天地返しの効果ですが、下層の土を表面に出し、表面の土や草、わらを埋没させることにより、雑草や過剰養分、病原菌などが下層に埋没し、下層のフレッシュな土が表層に現れます。また、草などの有機物を埋没させることで微生物の活動を活発にさせたり、地表の雑草をすき込むため地力の向上につながります。さらに、土を砕くため土中に空気を含みやすく、排水もよくなります。また、連作障害や冷害・干ばつを回避したりする効果も期待できる、といったところです。

しかし、プラウ耕は圃場にかなりの凹凸ができてしまうため、平にならさなければなりません。ですから、耕運機(ロータリー)でもう一度耕します。そして、ようやく種蒔きの準備が整うわけです。

<関連>冬に行う寒起こしでの土づくり(無農薬栽培の秘訣)

気力を振り絞る時:皆さんに最高の新そばを届けるために

この草刈りから種蒔きまでの一連の作業は、連続して行わなければなりません。日にちを空けてしまうと、また雑草が伸びてしまうからです。

また、雨が降りますと作業できませんから、天気が良い日は逃さずやらなくてはなりません。「今日は疲れてるから明日やろう」などと甘えることは許されません。

おかげさまで、お盆休み期間のお店は、一年で最も忙しい時期の一つです。しかし、その分疲労も溜まります。正直なところ、8月に入った頃から少しずつ作業を進めたいのですが、それは叶わぬ願いというものです。

ですから、この時期なかなか辛いものがあります。結局、私も昭和の人間ですから、気合いで乗り切る、となります。こう言った状況下に於いては、昭和とか令和とか関係ないかもしれません。種蒔きには適期というものがありますから。適期を逃せば、作柄に響きます。出来の悪い蕎麦は重量が下がるのはもちろんですが、味も落ちてしまいます。

この時期、私はなるべく早寝を心がけ疲労回復に努めていますが、それでも体調を崩してしまうこともあります。今年も無事に作業を終えられること、そして元気に乗り切れることを願うばかりです。

私の作る蕎麦を待っていてくださる皆さんの存在が大きな励みです。

<関連>亮月の蕎麦への自信と自戒

(LINE友だち登録のお願い)
亮月では蕎麦に関する知識や私の想いを発信しています。また、LINEの友だち登録をしていただくと、営業時間変更のお知らせや最新情報の確認ができますので、ぜひ登録していただければと思います。

目次

Blog

店主のブログ

CONTACT

PHONE

LOCATION

静岡県田方郡函南町丹那1196−6

ACCESS

JR熱海駅より車で約20分

JR函南駅より車で約10分

Copyright © ryogetsu2022 All Rights Reserved.