桃の木に桃の実がなっている写真

一瞬の美味しさを支える、夏の手仕事

毎年、梅雨が明け今頃になると、山梨の馴染みの農園まで桃を買いに行きます。桃が大好きな私にとって、年に一度の楽しみです。
こちらの農園は、私がトラックに乗っていた頃からのお付き合いで、知り合って20年くらい経つように思います。幹線道路沿いにあって、大きなトラックでも止めて買える農園だったのがきっかけです。仕事の合間に訪れて、美味しい桃を買えるのが本当に嬉しかったのを思い出します。途中、何年か行かない年が続きましたが、私が農業を始めてしばらくした頃、再訪したところ、農園の奥様が私のことを覚えていてくださって、美味しい桃との再会がより一層嬉しいものとなりました。以来、毎年欠かさず美味しい桃を求めて伺っています。
農園のご主人は、以前は兼業で農家をやられていたので、面識がなかったのですが、いつからか専業農家になられたそうです。私が蕎麦農家を始めたと聞いて、大変親しみを感じてくださるようになり、農家つながりならではの、いろんなお話を聞かせてもらえるようになりました。

甘さは、手をかけたぶんだけ

こちらの農園は、桃と葡萄を作られているのですが、いつも聞けば聞くほど果樹農家は大変だ、と思い知らされます。桃の収穫が7月から始まって、葡萄が終わる9月まで毎日休みなく続きます。朝4時頃から収穫を始め、選果の後、午前中のうちに市場へ出荷。以降は私のように訪ねてくるものの接客をしながら、箱詰めして発送します。連日30°を超える中での作業です。

もちろん、放っておけば実がなるわけはありません。冬の間は割と平和な日々らしいのですが、春先からは木の剪定に施肥、花が咲いた後はひとつひとつ摘蕾をし、また摘果へと続きます。それもこれも養分がしっかり行き渡っていい実がなるようにするためです。葡萄に至っては、摘果の上、よく成長するよう、房の一粒一粒に薬剤を塗布するそうです。考えただけでも気が遠くなるほど根気のいる作業です。その後は、消毒、傷や害虫除けのための袋がけなどなど、挙げればキリがないほどの作業の末、ようやく私たちの口に入るわけです。

私は穀物の蕎麦を作っていますが、穀物のことを土地利用型作物と言います。対して果樹や野菜は園芸作物と言われています。先ほども言いましたように、土地利用型作物は、非常に大雑把な言い方をすると、畑を一気に耕して肥料を撒いて、時期が来たら一気に刈る。そんなイメージです。園芸作物のように育てる手間や細やかな作業はありませんが、土地利用型とあるだけに、広い面積を扱うことが最大の手間となります。どんな業界のどんな仕事も、皆さんそれぞれにご苦労をされているんですが、農家の仕事もなかなか大変です。

“食べる”は一瞬、“育てる”は日々

食べるのは本当に簡単で、一瞬で終わってしまいますが、農家さんのご苦労を知れば、農家の端くれである私ですら、食べ物がよりありがたいものとなります。同じように桃農家さんも感じてくれるかどうか分かりませんが、お土産に私の蕎麦を持って行くと「何よりも嬉しい」と大変喜んでくださいます。
私的には、うちのものより菓子折りの方がちゃんとしていていいだろう、と思っていたのですが、とても意外なことでした。そして、今年もこの辺りのスーパーなどでは決して手に入らない、新鮮もぎたての美味しい桃をいただけました。

村松農園の皆さんの働く姿を見る度に、私もまた頑張ろう、と思います。
今日もありがとうございます。

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