朝日が昇る駿河湾

畑も海もどこかでつながっている:亮月流SDGs

知り合いに釣船の船長さんがいます。もともとはお店のお客さんとして知り合ったのですが、今では頼りになる良き友人としてお付き合いさせていただいています。その船長から、先日イカ釣りに誘っていただきました。なんとありがたいことに私だけのために貸切で船を出してくれました。しかも、私は釣りの道具は一切持ってなく、いつも合羽と長靴のみの持参です。
これまでも何度となくイカ釣りに誘ってもらいましたが、私の中でイカはなかなか釣れない獲物、というイメージでした。5時間も6時間も懸命にやっても2、3匹、ひどい時はゼロなんてこともありました。せっかちで飽きっぽい私にはイカ釣りと聞くと長く辛い戦いです。何年か前には、それこそ大漁で一晩に100や200くらい釣れることもあったそうですが、そういう日はもうないのだろう、と思っていました。

しかし、今年は大漁が待っていました。仕掛けを落としては釣れ、糸を巻けば釣れ、まさに入れ食いとはこのことです。こうなると腕など関係なく誰がやってもたくさん釣れます。終わってみれば、素人の私でも100匹近いイカを釣ることができました。

駿河湾からの静かな警鐘

大量のイカ

今回は、こんな豊漁に恵まれましたが、ここ駿河湾でも桜エビの不漁が言われて久しいです。また近年、シラスも獲れなくなっていると聞き及びます。そして、これまでは見られなかった温かい海の魚が釣れるようになってきた、とこちらの船長も言います。それもこれも温暖化の影響でしょう。蕎麦作りでも年を追うごとに温暖化をひしひしと感じさせられます。
以前、テレビで漁師さんが言っているのを見たのですが、海に必要なミネラルや栄養は山から来る、だから山を大切にしないといけない。山を育てなければいけない。そうしなければ、海の恵みは受けられない。そしてまた、海のものが陸で土に帰り山を育て栄養となって海に帰っていく。循環を絶やしてはならない、ということです。

私としてもこれは大変切実な問題です。環境保護活動のような大きなことはできませんが、自分にできることをやるように心がけています。

持続可能な飲食店のかたち

例えば、ゴミの削減です。亮月では、開店当初からフードロスの問題に積極的に取り組んでいます。メニュー開発も食材を廃棄することのないように工夫して、使い回しができるものにしています。その甲斐あって、お客様が食べ残したもの以外は、ほとんど廃棄することがありません。これはうちのスタッフさんも驚くほどです。

無農薬・有機肥料にこだわる本当の理由

新そばの種蒔き後に芽が出た様子

また、畑では農薬を使わない。農薬はとても便利ですが、いいものも駆逐してしまいます。健康への懸念もさることながら、土壌汚染にも繋がり、生物の多様性の観点からも好ましくないと思います。実際、店の周りに除草剤を撒くと普段はよく居る蛙を見かけなくなります。

肥料も化学肥料ではなく有機肥料を使います。
化学肥料のメリットはなんといっても少ない量で大きな効果が期待できることです。化学肥料なら蕎麦栽培には1,000m2あたり25キロから50キロほどで足ります。ところが有機肥料となると数百キロも蒔かなくてはなりません。作業量は雲泥の差です。しかし、長い目で見たときに化学肥料だけでは土に元気がなくなっていきます。多分、作物以外のものを育てる力がないからだと思います。有機肥料はその分解されることにより植物の養分となり、その分解にはたくさんの菌や微生物が携わり、またそれらを育みます。そしてそのサイクルが長い年月をかけて海にも巡っていく。

小さなことではありますが、これが亮月版のSDGsです。

今回は、思いがけず豊漁に恵まれ美味しく海の幸をいただけたことで、環境について思いを巡らせました。振り返ると、そんなに意識してなかったけどいくらかやってたんだな、と嬉しくなりました。
今日もありがとうございます。

<関連>蕎麦になるまでの自然界のプロセス

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